言論の泉 NO16(2016.6~8) 都知事選とオリンピック,沖縄の決断,地方分権と地方創生の功罪など

鬼面兵衛門の言論の泉

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鬼面兵衛門の言論の泉
座談会/2016.8.15

出席者
司会 鬼面兵衛門(ジャーナリスト)
田中愛美   (大学生)
成島裕子  (家事手伝い)
植山和美  (トラック運転手)
曾根重雄  (飲食店経営)
糸島史郎  (大工)
白根小百合 (会社員)
田所康志   (商社員)
三田 信   (農業)
上西みどり (公務員)
大野 誠  (警備員・派遣)
片桐琢磨  (露天商)
荒戸康人  (土木作業員)
金森良子   (主婦)
小寺三津美 (廃品回収業)
相良吉兼  (年金生活者)
北里芳信  (団体職員)
※出席者はいずれも仮名


1都知事選とオリンピック
諜報謀略機関の充実
2沖縄の決断
3参院選と憲法改正
4景気は回復したか
5地方分権の功罪と地方創生
6高校野球中継のこと
7TPPと農業改革


鬼面 : こんにちは、お盆でお忙しいところ時間を割いていただきました。今日は6~8月分、まとめて論議します。
熊本地震の爪痕が未だ癒えておりません。被災者の皆様にお見舞い申し上げます。
それからね7月1日夜、ダッカのレストランでJICA勤務の邦人7名を含む23名が殺害されました。イスラム国がらみのテロ事件のようです。日本の大学で教鞭をとっていたバングラディシュ人が関与しているとの情報もあります。犠牲者並びにそのご家族にお見舞い申し上げ、哀悼の真を捧げます。(黙祷)
イギリスのEU離脱、北朝鮮の度重なる弾道ミサイルの発射実験、中国による南シナ海の支配を否定したハーグ仲裁裁判所の判決、また東シナ海では尖閣における中国公船の航行など事件に枚挙のいとまがありません。
スポーツ分野では8月5日、リオ五輪が開幕しました。またイチロー選手の通算3000本安打の達成は日米野球界の偉業といえましょう。
国内では参議院議員選挙で自民党が圧勝し、また都知事選では小池さんが圧勝しました。
8月6日、9日は先の大戦でそれぞれ広島、長崎に原爆が投下さ、同月15日にポツダム宣言を受諾、敗戦が確定しこの日に全国戦没者追悼式が行なわれています。先の大戦で犠牲となられた人々に哀悼の真をささげ、黙祷しましょう。(一同黙祷)
国政の焦点は院の内外における憲法改正の準備作業かな。それからね、米軍基地・普天間の辺野古への移転が暗礁に乗り上げています。今年3月、国と沖縄の和解が成立したんですがね、こじれて結局国は埋立承認の取消処分の是正指示を沖縄県知事に行ったところ、沖縄側が反発して再び国が福岡高裁那覇支部に提訴し、法廷闘争になっているわけですね。来月16日に判決がでます。知事は和解後、実は埋立問題について総務省の国地方係争処理委員会に仲裁を訴え出て、同委員会から「双方が納得できる結果を導き出す」との裁定を得てたんですね。ですから沖縄側はそもそも国の提訴に納得していない。その上裁判は国が手続き論を主張していて基地問題の究極の司法判断を求めるものでもない。ですから僕は国が勝訴すると見ています。判決後の県側の手の内が見えませんが訴訟合戦は避けるんじゃないかな。結局、国も県も沖縄県民の「こころ」を察し落としどころを見つけないと根本的な問題解決に至らないし、政府と沖縄の戦いは終結しない。対外的にも印象がよくないですね。日本政府の統治能力がわかる裁判だけに、アメリカはもちろん中国、北朝鮮など極東諸国も注目しているでしょう。
それから8月8日、天皇陛下がお気持ちを述べられ、生前退位の法制をはじめとする問題整理の必要性が浮き彫りになりました。陛下のご労苦、お身体を思うとこの問題を放置してきた責任の所在こそ追求されてしかるべきと思います。誰もが日々の報道などを見ていて陛下のご負担の大きさを心配していたわけですからね。
リオ五輪が開幕し、なんとなくうきうきとした雰囲気が国内に漂っています。高校野球と重なって野球は場違い、浮いちゃっている。(笑い)
今日はフリーに論議しましょう。どなたからでも結構です、何か。

(都知事選とオリンピック)
金森 : 東京は都知事選で盛り上がりました。投票率は思ったよりよかったですね。小池さんが300万票近く獲得して都民の意思がはっきりしました。私は施設もイベントも豪華で華やかな夢のような五輪を期待しています。小池さんが公約されたオリンピック予算の見直しが気にかかります。
鬼面 : 金森さん、東京都民でしたよね。競技会場や関連施設の建設費のこと?
金森 : もちろんです。競技会場を一新してほしいわね。そして世界一安全で心地よい競技環境を整えた東京をアッピールしてほしいですね。私、2020年には80歳を超えちゃうの。オリンピックまでは元気でいて三途の川で土産話をしたいですね。(笑い)

鬼面 : 新知事の思いはあなたの期待する五輪とは少し違うんじゃないの?
金森 : もちろん経費は大切に使ってほしいですね、税金ですもの。でもね行き過ぎると大会が暗くなりますし商工業者もメディアも納得しません。東京は世界に冠たる大都市でしょう、税収でもね。還元しないと…。小池さんは自民党を離党されたわけじゃないよね。責任放棄はできません。(笑い)

成島 :あなたがそういう発言されるとは意外です。選挙の公約が守られなければ選挙民が黙っていないでしょう。形式的な見直しじゃ納得しませんよ。猪瀬さん、舛添さんがあのようなことになってただでさえ都民は他府県人から批判的な目で見られていますよ。都民の投票能力と申しますか三度同じようなことになればもう首都を任せられない、そんな目で見ていますよ。しかも離党もせずまたぞろ元領袖と二人三脚じゃあやっぱりそうかと東京が好奇の目にさらされはしませんか。選挙民は商工業者やメディア関係者ばかりじゃありません。はっきり申し上げて労働者の平均年収にも満たない方が随分いらっしゃる。年金の掛け金や介護保険料の負担にあえいでいらっしゃる。そういう労働者の切なる願いを反故にすれば政治の堕落といえるんじゃないかな。しかしね、 経費を削れば国が是正指示を出す。国に逆らうと東京も沖縄と同じ運命かな。(笑い)

荒戸 : ちげえねえ。都民はオリンピックの経費負担の見直しをするというから小池さんに投票したんだろ。小池さんの手口をみねえで都民の投票能力は評価できねえ。経費の見直しの中身をよく見てから評価するだよ、首長にふさわしいかどうかをよ。離党するかどうかは政治家個人の判断だろ。都議会を考えるとうまく世渡りしたほうがええかもしれん。しかしそれじゃ首だで。

成島 : 経費を削れば国が是正指示を出す。国に逆らうと東京も沖縄と同じ運命かな。(笑い) しかしね、都民はオリンピックの経費負担の見直しをするというから小池さんに投票したんじゃないですか! 都民や小池さんをみくびった話ですよ。それじゃ選挙で選んだ意味がありません。それに離党するかどうかは政治家個人の判断でしょう。

片桐 : そんなことどうでもよいこっちゃ。テレビの方がよお見えるしな。それに日本はイスラム国の標的になってんやろ。あぶない、あぶない。あえて言うたらわしらの生活をようしてからオリンピックやってな、そんな思いや。

北里 : 合理的にお金を使う、過去のマネー漬けのオリンピックの反省からIOCはいろいろと非難されて対策を打ってきた。開催国も節度を考えて動かないとね。IOCに陳情して競技種目をあれやこれや増やしたり、競技施設をむやみに新築するようなことはしてほしくありません。適当な会場がなければ隣国の協力を得たっていいと思うの。徹底的に精査して税金をむやみに使ってほしくないですね。政府は東京都にムリムリ補助金や交付金を押し付ける必要はないでしょう。裏負担も馬鹿にならないんだから。オリンピックはそもそも民間の行事ですよ。政治的に利用すべきものじゃないしね。
鬼面 : 仰るとおりIOCは五輪誘致や競技種目のありかたについて、様々の問題をかかえています。それを知っていながら傍観者然としているでしょう。開催国の懐具合を見定めて優柔不断な態度をとることこそ問題でしょう。為政者も五輪を政治的に利用する下心が見え隠れしていないか鏡に姿を映してみるべきですね。開催費用、競技種目の縮減に向け主体的に協力し動かないとね。そういうことこそ国を挙げてどんどんやればいい。都合のいい競技種目の加増が開催国の利権のように扱われることは大問題ですね。世界一の大都市東京の知事だからこそ五輪開催の在り方に一石を投じることができる。手腕に期待しましょう。公約だからね。
荒戸 : 小池さん自民党員だって。離党してねえんだって。でもよ、お終いは政府与党の方針に折れ従うだよ、きっとそうなるよ。オリンピックはゼニを撒くいい機会だからよ。景気対策にもなるし野党も文句もいわねからよ、だから安倍さんも猪瀬さんも必死に誘致運動しただよ。舛添さんはそんな空気をよんでやっかみから会場の建設費に注文をつけたんだろ。そこらにもオリンピックが政争の道具になっちゃった証よ。

相良 : なんということを。酔っ払っているんですか。
荒戸 : 酔っ払ってるのはおめえだろ。イスラム国やその同調者が狙ってんだよテロをよ。それによ、五輪期間中、中国に尖閣をうろうろするのはやめてくれとか、北朝鮮に弾道弾の発射実験はやめてくれとか、安全を保障してくれってだれが他国に頼むだよ。仕掛けられて立ち往生じゃ、赤っ恥をかくだけよ。状況によっては選手が出場辞退するかもしれねえよ。
相良 : また変なことを仰る。

(日本の諜報謀略機関の充実)
大野 : そうかな? インテリジェンス組織の未成熟な日本では早急に諜報謀略機関を整備しないと、五輪のような大イベントは打つ資格すらないと非難されますね。警備は一流でもテロリストは有象無象にいるからね。穴ができると一瞬でしょう。日本ではCIAのようにペンタゴンの整備には大分時間がかかるし予算もつかないでしょう。その隙間を狙われる可能性もないとは言えない。公安、警察庁のテロ等の広域情報収集能力の強化や自治体警察と警察庁、法務省との事件処理のシステム化や情報の共有化等の連携は強化してほしいね。オリンピックは良い機会ですよ。諜報謀略組織を実態的に早く整備しないとテロに対処できないし、日本の安全は確保できない、と私は思います。五輪は試金石です。

鬼面 : 僕もインテリジェンス組織の整備は喫緊の課題と考えています。先進国でこれほどンテリジェンス組織の整備を怠ってきた国はまずないでしょう。テロも戦争も仕掛けられると防ぎようがない。現状がそうでしょう。国内のメール情報等々がプロバイダーの協力によってアメリカのインテリジェンス機関に把握されていることが取りざたされた事件もありました。日米間でそうした高度な謀略協定のようなシナリオを描きつつ先々イベント対策などを講じないとテロは防げない。それほど周辺国の情報収集能力は高度化していて、テロリストもまた追いつけ追い越せでせめぎあっているでしょう。過去、我が国はロシアのミグ機の侵入を阻止するどころか、追尾すらできなかった苦い経験があります。仕掛けられる前に情報を採って即応できる体制がないとね。その収集能力と即応力こそ国の礎でしょう、今はね。
話を戻すと、只今金森さんや荒戸さんから新知事の手腕を不安視する発言もございました。しかし今回の選挙で都民は五輪負担の見直しを支持し、小池さんは当選された。メインの政策は絶対的なものと判断せざるを得ません。見直しをしたものの抜け殻じゃどうしようもありません。新知事は徹底的に負担の見直しをされるんじゃないかと思っています。負託にこたえるってことは答えをちゃんと出すってことですからね。もちろん組織委員会もJOCも都民の意思に反して国の指示に従えということは難しいからね。いずれにしても税金を投入するんですから、裏の動きを封じるためにも力のある中立的なコーディネーターが必要ですね。交渉過程を透明化する必要があります。

(沖縄の決断)
田中 : 先ほど鬼面さんから辺野古訴訟のお話がありました。中国の海洋進出や北朝鮮の弾道ミサイルの発射実験等々、これは日本がその標的になっていて、防衛を考えると沖縄を重要視せざるを得ませんね。憲法解釈の変更をして集団的自衛権云々といってみても沖縄における米軍の負担は変わりません。或いは海兵隊の駐留経費の全額を負担してもらわないと駐留しなくともいいと考える人がアメリカにいます。対日安保の分流と申せましょう。いろんな見方ができますね。さらに一歩進んで日本の扱いは米中で話し合えば金がかからないとまあ、そんな日本を無視した方向性を唱える人も皆無でなくなるかもしれません。最近の米中関係はなんとなく親和的ですからね、むしろ日本の冷静な対応を求めているでしょう。
アメリカと中国で世界の警察権を分け合う時代に発展するかもしれない。そんな勢いが中国にありますね。北朝鮮の核弾道ミサイルはほぼ実用化されたとみてよいでしょう。北朝鮮は弾道弾を日本海に着弾させることがあっても、アメリカ本土を脅かすようなことは行っていない。好んで北朝鮮が標的にされるタネを撒くはずもないからね。自制していますよね。

相良 :しかし日米は沖縄を防衛拠点と考え続けているってことですよ。国民のなかには沖縄に向かって税金を渡しているんだから基地ぐらい我慢してねっと、そう思う者がなきにしもあらずです。日中戦の危機に陥るともう、沖縄は無人島になるんじゃないかと危惧します。日本は尖閣や竹島周辺の固有の領土に侵入されても警告や臨検すらまともにできないわけだからね。海保と自衛隊、一体何人控えているんですかとね。
田所 : 朝鮮戦争やベトナム戦争、湾岸戦争に沖縄の米軍基地が使われました。戦略上、これ以上の基地適地はないってことでしょう。都市には顔があって沖縄は基地の顔ができている。だから栄えている。国からお金も入ってくる。不満を言い出したらきりがない、我慢してほしいと考える国民もいる。

田中 : そう簡単に片づけられないところに沖縄問題があります。もう少し沖縄の歴史と現状を認識すべきですね。
鬼面 : さきほど沖縄は国からお金をもらっているというお話がありました。特措法に基づく予算配分のことでしょうがちょっと誤解があるんじゃないか。沖縄の歴史的な経緯から議員立法によって予算配分の成り立ちが本州の府県とは異なる扱いになっているわけです。沖縄に基地があるからお金をつけるということではまったくないし、特別配分があるわけではない。北海道も同じですね。本州では都府県といういわば小藩が分立していて、加えて国の行政組織が縦割りになっています。各省は管轄区域を分割統治し、出先機関が各都府県内の主だった道路や港湾、河川などの整備や管理を行っている。ある意味、非常に非効率ですから国の組織の再編統合が行われ、道府県についても道州制の検討がなされてきました。そうしないと地方分権もも進まないわけで行政上のネックにもなっている。しかし沖縄はそうじゃない。しかし沖縄はそうじゃない。日本に復帰後、沖縄事務局が一元的に公共事業等の国直轄の事務事業を執行しているわけですね。非常に合理的な運営が行われている。沖縄県に対する一括交付金も他府県と比較して制度上、異なるものではありません。沖縄事務局が執行する国直轄費と交付金の合計予算額が恰も沖縄県の手取り金のように思われているがそうではない。本州では一般的に、国直轄予算と交付金の合計額を都府県に割り戻して○○県に〇〇億の予算を配分云々の表現をしませんから沖縄が基地と関連付け大金をもらっているように国民は錯覚する。国家公務員の人件費や庁費などを勘案すると県民一人あたりの投資額は沖縄県が多いとは言えません。人口が少なく投資効率が悪くなるのは当然ですからむしろ抑えられているといっていいでしょう。
田中 : 私は沖縄の人々はお金より平和で静かな社会を求めていると思います。

片桐 : 沖縄の進む道筋に答えがないやろ、だあれも想定もできとらん。言えることは今の日米両国の考えでは沖縄は防衛の前線基地から永劫に逃れられへんで。尖閣の領海内に中国船が出入りしてんで。日本が尖閣を国有化したんは最近や、その前はどこの国のもんかわからんかったんやろ、棚上げしとったんや。日本の実効支配云々といわれてきたが中国は納得しとらん。領土は国家間で認め合うことや。それができんかったら国有化したんやろ。南シナ海と同じ構図や。いざとなったら中国は国連の意見を聞かんやろ。アメリカかておんなじや。敵対国の要人の殺害など実力行使するやんか。裁判結果でも国連決議もでてへんで。自国の利害を損なうものへの報復をかってにやるやろ。中国は南シナ海の次は東シナ海を抑えにかかるんとちゃうか。そんだけの力があるさかい中国は尖閣の日本の領海を堂々と航行しとるんや。北朝鮮もおんなじや。あっちは移動式の弾道弾の発射台やら無人機をもっとるやろ。方々から核弾頭を打ちこまれたり、海面すれすれに無人機が飛来して攻撃を受けかけても落としようがないんとちゃうの。中国も北朝鮮もそんなことせえへん言うたかて保証の限りやないさかいにな。もうのんびりしてる暇などないはずや。

田中 : 尖閣、日本海と自国の防衛に理屈を立てて日本攻撃の準備は整えている。日本の領海であれば排除できる。尖閣など東シナ海で小競り合いがあると沖縄の出番がくるよね。
上西 : 沖縄の民心はもう日本政府とアメリカから離れてしまったとみていいのかしらね。双方、民心を繋ぎとめる「こころ」を沖縄に示してこなかったと思うの。人は結局、力を誇示して押さえつけると反抗するわね。沖縄が琉球として独立することを願う人が増えつつあるようね。琉球語を標準語に変えてまで経済も文化も本土に近づこうと努力したが米兵や軍属などに人権を蹂躙される事件がしばしば起こっています。傍で見ていて何もできない辛さを味わっているのは沖縄の人たちでしょう。知事が顔に泥を塗られて返ってくることがあっても辛い気持ちを共有できるのはウチナンチュウーでしかなかったでしょう。ここに沖縄の悲劇と独立への渇望が凝縮されているように思うの。アメリカの次期大統領選は11月、米軍の撤退或いはポスト海兵隊が少しでも現実味を帯びると憲法改正が政府与党の視野に入っちゃう。
鬼面 : しかし、どちらにころんでも沖縄の悲劇は止むことはない。

田中 : 私は近い将来、沖縄の進路選択の論議に火がつくと思うの。しかしそれは営々として築いてきた経済社会の崩壊を示しているから簡単ではない。島民が決断すればそれは奄美諸島や鹿児島本土にまで飛び火すると思うの。即独立でなくとも政治的な中立宣言乃至独立運動へと進化するかどうか、中央政権の反目と有形無形の攻撃を受けることは沖縄県民の視界に入ったと思うのね。
小寺 : よくわからない。政府は革命運動と見做せば抑圧乃至押さえ込むこともできる。
田中 : ですからね、最初は政治的な中立宣言を党是とする政党の出現や中立運動がコミュニティーから湧きで奔流になる、そんな変化ですかね最初はね。
鬼面 : すでに起こっている。あんたの言うことを否定はしないがアメリカがそうはさせないでしょう。アメリカの財政事情や残虐な事件の発生によって日本の国論を二分するようなことがあっても沖縄はやっぱり自由主義社会の砦であることには変わりがない。独立運動がおきて衝突すればまずアメリカが実力行使して鎮圧するでしょう。

田中 : 内乱の収拾、基地が大事だからね。それじゃ何も変わりません。
鬼面 : 政府与党は世論を喚起し、党是に沿った憲法改正を行なって(発議して)、軍隊を整備するでしょう。アメリカが撤退乃至現有勢力を割けば極東の均衡は防衛分担によってしか実現できないでしょうからね、日米で協議が行なわれる。衆議院議員の任期満了が再来年の暮れでしょう。消費税10㌫への引き上げ時期とも重なっているので、時期的には国防の危機感を煽って秋口に解散に打って出る。議席を積み増しして臨時国会で一気に憲法改正の発議をするんじゃないかと僕は考えています。防衛力の再整備は消費税値上げを後押しする良い材料にもなりますからね。

(参議院選と憲法改正)
白根 : 参院選で野党は一人区でよく頑張りましたよね。しかしトータルでは大敗、自民は公明、維新を加えて参院で3分の2議席を確保しましたからね、国を動かせる。
荒戸 : 安倍さんはきっとがっかりしているよ。沖縄で米兵の事件があっただろ。辺野古への基地移設も政府と和解したようでそうでねえよな、前より悪くなっちゃった。何やってんだと国民はみてるよ。それからねアメリカで共和党のトランプ氏が対日の問題でもわめいているだろ。駐留米軍にもっとゼニを出せとか言って…。嫌ならてめえ勝手にしやがれってことだろう。安保も何もあったもんじゃねえ。やっぱ自国民がかわいいからよ、日本の犠牲にはなりたくねえとね。
鬼面 : そういう思いもあるかもしれない。だけどそうはならないと思いますよ。沖縄は自由主義社会の砦でしょう。過去の出撃記録をクリアーすると反自由主義国への重石がなくなってしまう。日本に代替能力がないのは当然でしょう。新たな極東の政治地図の塗り替えが始まる。
小寺 : だから日本の領土が極東諸国の草刈場にならないよう憲法改正、つまり軍制を整えないと日本は生き残れないということでしょう。国民のそんなことは大体わかるから自民党に投票する、そこが与党支持者の本音じゃないのかな。だから鬼面さんは再来年の解散総選挙後の改正発議を指摘してるんでしょう?
北里 : 安倍さんは同日選に打って出て選挙後の憲法改正の発議を想定していたのかな。でもね地震やテロといろいろ起こって同日選は吹っ飛んでしまったよね。でも参院選に勝利したわけだから、院内外で淡々と勉強会や審議が始まって次期衆議院総選挙では、堂々と自民の憲法改正案を問う選挙になるんじゃないかと思います。総選挙前に、一気に改正発議というわけにはいかないと思いますよ。自民党案そのままで院の発議案がまとまるとも思えませんし、やっぱり衆参両院、特に衆議院で自民党単独で三分の二以上の議席がないと発議できないでしょう。そんなことは十分、自民党はお見通しと思いますよ。それからね第一、国民は自民党案の内容をよく知らないよね。自民党は参院選の公約として改正内容の説明まで行っていないからね。やっぱり次期総選挙で具体の内容を公約としてアウトラインを提示して単独で三分の二以上の議席をとる。後は数の力で両院を押し切って発議する。そんなストーリーじゃないかと思います。それならわかる。
荒戸 : 誰もわかんないよ。何が起こるかわからないのが人の世、俺はね再来年まで待たずに来年中にも解散してあれやこれやの公約をして選挙するんじゃねえかと思うだよ。単独で三分の二とりてえだろうな。

田中 : 尖閣や弾道ミサイルの実験など日本周辺は大変、憂慮すべき事態ですね。領海に漁船や艦船が出入りし、領海を侵され、弾道ミサイル実験も領海めがけて打ち込まれ止むことはない。対処もできないそういう哀れな姿を国民に見せておいて、一挙に議席を増やして憲法改正の発議に向かうと推することもできるでしょう。でもね他国は敏感ですよ。先の大戦の総括ができていないでしょう。開戦に至る軍幹部の責任、靖国問題、大陸で起こした事件等々に周辺諸国の理解がまったく得られていない。それらの問題をおろそかにして改正論議に走ると、対日攻撃が激化して破滅的な結果になりはしないかと心配です。靖国問題などでは戦犯の合祀を問題視する方もおられますがその指揮下で戦死されたご遺族の多くは肉親もまた戦犯と同視されるという感情から問題に触れたがらないでしょう。情はよく理解できます。
荒戸: 兵は指揮官じゃねえだろう。戦争に負ければ自刃したり、囚われの身となれば切腹や獄門だろう。敗戦は悪だからよ、兵とは別の重い処罰を受けるだよ、世界共通の戦争のルールのようなもんだで。だからよ戦争を指揮し負けた者は兵とは別の処遇で墓に入るだで靖国は特殊な思想的背景を思わざるを得ないな。兵とは一緒に祭らないのが古来の風じゃねえのかよ。靖国でもおんなじだよ。しきたりに従ってそうしなければ戦犯が浮かばれねえんじゃないの。

鬼面 : 極東裁判を経てきましたからその辺りの日本人の判官びいきというか感情的な問題もあってそういうお祀りをしたひとたちがいるんでしょう。考え方は様々でしょう。
ところがね政治家の靖国参拝はちょっと違っていて支援団体との関係を探るとそこは明々白々になるんじゃないかと思いますよ。独自の戦争観をお持ちかもしれないので聞いてみないとねよくわかりません。しかし田中さんが仰ったことは大変心配な状況にあると申し上げなければなりません。特にこの2~3年、僕たちは思考の時間を共有しなければならない。
さて、植山さん、仕事は順調ですか。

(景気は回復したか)
植山 : 大型車の運転は力仕事のようなところがあって大変ですが育児でお金が必要なときは親方が仕事を回してくれるんですよ。景気が少し上向いている気はしますがどうでしょうかね。
片桐 : 月例経済で景気の好循環が続いている、引き続き底堅い動きがみられる言うてもどうかな、実感湧けへん。経済には山があるやろ。谷底までころがってこんな。「百キン」があるから何とか生活できてる。
上西 : 設備投資や消費支出が改善されていない、中国経済の減退等々が続いていましょう。よくなるはずがありません。大阪の電気街など歩くと随分、外人の買い物客でにぎわっているようですがね。
荒戸 : 一部の経済がまわっているだけだろ。パート、非正規が横行してよ日本がおかしくなっただよ。俺たちはもともと飯場を転々としてたから何もねえけどよ、いまの若けえもんは可愛そうだよ。利益が従業員に還元されない、なんてこった。いつからこんな国になっっちまっただよ。

田所 : 資本主義国の一般的傾向ですよ。企業道徳の貧困がグローバル化して非正規の問題は世界共通の課題ですね。地方の工場従業員の過半が非正規のところもあるでしょう。貧富差の拡大を助長してしまった。高齢化とも重なって市町村の負担も重くなっている。ところが社会主義国、共産国はマイナス経済の影響を受けにくい体質があるし、長期的には安定感がある。資本主義国が乗り越えないといけない課題ですね。
片桐 : デフレが不動産の動きを止めとる。家売っても査定はゼロ、ごみやで。せやから高齢者の生活はグレードアップしていかん。老後は郊外に家買うてのんびりと暮らす気にならんちゅうことや。査定ゼロやったら何のため家買うたんや。働いた結果がこんなことかちゅうことになる。あほらしいわな。わしがそんなこと思うくらいやで、年寄りは泣いとるで。不動産が社会資本として認められとらん。こんな国ってあるかいな。
上西 : 涙金くらいは上乗せしてくれるでしょう。不動産売買に税制が持ち込まれ、原価償却済みの評価くらいしかえられない。そのあたりは本当に問題と思うの。不動産に別途の評価基準があるべきね。そうしたことこそ国は基準を示すべきと思うわ。経済がころがっていくようにしないとね。
鬼面 : デフレ経済の改善が進んでいない証でしょう。規制がそれに拍車をかけている。都市計画や建築制限がそれですね。昭和40年代のインフレと乱開発の恐怖が霞ヶ関にまだ残っていて地方行政に影響を与えている。そこはクリアーにして市町村を指導しないと計画行政は動かないし、経済再生の推進力にもならないでしょう。

(地方分権の功罪と地方創生)
上西 : 近年、地方分権が熱病のように蔓延していて危惧感があります。地方分権は賛成ですが受け皿を考えずに進めると大変なことになりますね。先ほど鬼面さんが計画行政のこと仰ったでしょう。都市計画の線引き、つまり都市計画区域と市街化調整区域の線引きの権限が市町村におりました。都市計画区域が廃止になると住宅等の建築ができるようになります。しかしね農村では農業振興区域の線引きの見直しが進まない、したがって都市計画解除の恩恵が極めて限定的にしか現れていない。これじゃ何にもならない。地域の発展を阻害している。戦後、フリーズしたままのところも随分多く、農作放棄地や飯米農家、趣味で農産物の生産を続ける農家の農地が有り余っていてもどうしようもなく動きがとれない。農作放棄地や飯米農家、趣味で農産物の生産を続ける農家の農地が有り余っていてもどうしようもなく動きがとれない。市町村内部で未だに開発か農地の保全かの論議をしていて調整能力が死んじゃってるのよね。そんな状態じゃないかと思います。権限委譲の効果が減退し、社会経済の発展を阻害している。市町村の体制や執行能力を考えると国は権限移譲にともなう自治体の仕事につきアクションプログラムを示すなど技術指導を早急に進めるべきだわ。特に農振区域の見直し、これは自治体で対応できます。農地法の許可は未だ中央集権になっていて政府が市町村農業委員会を指図してますよね。転用許可基準の緩和を大幅に進め農協に許可権限を委譲するなど岩盤を切り崩さないと安倍さんが目指す強い農業は生まれてこないし、耕作放棄地の拡大を止めることはできない。末端でもね市町村が遠いところにいて農業委員などに指図している時代じゃない。時代遅れもはなはだしいね。わかっていてやらないと責任問題というより農政が歴史に残る失策を重ねることになるでしょう。

鬼面 : そのとおりです。地方分権はよいことだと思いますが自治体内部のセクト主義が一番問題で次は能力の問題があるんじゃないかな。そこは分権を進める限り国が技術指導を強化しないとだめですね。権限が自治体に移ったのでそちらの窓口を紹介します或いは自治体に聞いてくださいとかの返答じゃじゃどうにもならない、頓珍漢のきわみですね。住民は埒が明かないから国に訴えるわけだからね。分権がうまく進まない、申告案件があった、そういう状況が見え隠れするようになれば国は技術指導を行なわないと国・地方を通じた行政レベルの向上が望めない。
荒戸 : 分権はええことだよ。でもよ怠慢に慣ちまったから自治体の動きを変えることは難しいと思うな。官吏は新しい考えには抵抗を示すだよ。それからよ役所内の仕事に縄張りがあるんだろ。建築屋と河川屋、田んぼ屋の競争は熾烈だろ。そんなことも頭においていて自治体の仕事を考え直さないと分権は猫に小判なっちまう。

糸島 : 荒戸さん、だめですよ。もうそんな時代じゃないよ。建築屋が何か言ってきたらきいてやらないと拒否すれば自治体は仕事ができないんだから。納税者がそんなこと言い始めたら自治体はますます動きません。
荒戸 : そうかよ。わかったけど仕事は人がするもんだで。見解の相違ってこともある。しかしそれを口実になんもやらなければ罷免を求めるだよ、おいら達はよ。
曾根 : 地方創生は地方分権そのものでしょう? 結果が分権の評価になる。プレミアム商品券の買占めとかよからぬことを考える者もいる。あれって何なんですか。中身が見えてこない。それで地方創生になるの?
上西 : 進行中です。(笑い)

曾根 : ああゆうことって商店街は歓迎しているの。一時的に売り上げは伸びると思うけど続かないでしょう。恒常的に経済効果が現れないと商業者も喜んでばかりおられない。
片桐 : 地方創生は都道府県知事や市町村長の人気取りでやっとるんやろ。そんなことばっかりや市町村がすることは。地方創生は産業を起こして暮らしやすい地方をよみがえらせ、人口を増やすことやろ。先ほど上西さんから国の提示モデルと実際の創生プラン見せてもろたけど、市のプランは何やねん。住民にできもせんようなメニューを引き写して怪しげな人口推計をしてるだけや。プランを審査して有望なところに金をつぎ込んだらええのんと違うの。現状はちょっとも地方創生になっとらん。ばら撒きや。国政の鼎の軽重が問われるで。

鬼面 : 津々浦々、地方の創生をおしなべて進めるわけだから国の方針は間違いともいえないでしょう。問題は運用ですよ。国はそりゃいろいろとメニューを出してプレゼンテーションしているから選択の趣旨を違えず姑息な手法を使わず、見せ掛けを排除して地方の振興に全力を投入ほしいね。そうすると人口も増える。皆さん地元自治体の創生プログラムを読んで評価してみてください。フォローして、それぞれわが町の創生プランを持ち寄って論議してまいりましょう。
それからね、分権ブームでどんどん地方に権限が委譲されとんでもない状態に陥っている事務事業がいくつかありますね。国や都道府県はその執行状況を精査してきちんと技術指導しないととんでもない混乱が生じる。

荒戸: 飯場にいると里道水路つまり法廷外公共物と私有地の境界争いから工事がストップすることが間々あるだよ。法廷外公共物特に里道を取り込んじゃって私有地化してしまったり、ひどいものになるといったん私有地を寄付して道路となっていたはずのところが元の畑になっていたりするだよ。人の欲は賽の河原よ。ひとつまたひとつ、積み重ねていくだよ。
鬼面 : 権限委譲によって市町村長が法廷外公共物の財産部局長に指定されています。しかし里道水路の財産管理は杜撰といっていいほどいい加減ですね。市町村の官吏ですら市道か里道か区分けができない者がいますね。従前から農業用道路或いは用水路として使用されてきた経緯があって維持管理は実体的に各集落が行なうものという感覚であって、それが国有財産であるという認識がないとしか思えない。とんでもないところに管理権限が下りたわけです。道路台帳すら整備していないところがあり実に嘆かわしいですね。そういうところは道路敷地として寄付を受けても嘱託登記すら実行していない。だから荒戸さんが仰ったように何かにつけもめるわけですよ。水路も普通河川として管理の密度に濃淡があります。いい加減にしている所はやっぱりうまくいかない。そこらのけじめが市町村行政の評価にもなるし、暮らしにくい逃げ出したい市町村と烙印を押されることにもなる。結局、人の泣き笑いは足元が照らされているかどうか、気にも留めないところにまで神経が行き届いた行政が行なわれているかどうか、そこが行政の信頼性に直結すると僕は若い人によく言うんですよ。地元にお帰りになって法廷外公共物の財産管理のことも調べてみてください。宿題にしましょう。(笑い)

それからね道路の掘り返しの問題。年度初めに道路管理者の調整会議があるんだから国が主導してかなり綿密な打ち合わせをやっておかないと市民の不満がやがて噴出するだろうし、やっばり税金の無駄使いですから心して懸命にやっていただきたいですね。
荒戸 : 俺はね、市町村の若い官吏の問題と思ってんのよ。市民と接触するだろう。きちんと説明できれば納税者だって気色ばんでものをいうことはないと思うだよ。路面の凹凸面が基準値以内ですから問題ありませんじゃきょうび誰も納得しやしないよ。基準の意味合いちゅうか例えばよ、腰痛持ちの人なら自動車で問題個所を通行するときはこうしろああしろといった心がけを言いつつ、苦情が出ないように市当局としてはこう考えているとかいったようなことをだな、ひとの気持がわかる接遇と、やっぱ掘り返しの許認可の際、やたら許可しないことでねえかな。調整会議後の申請は翌年、検討するちゅうようなことだな。道路は社会資本だからよ、そのくらいの心得はあってもバチは当たらねえだよ。

(高校野球中継のこと)
北里 : オリンピックが始まって日本選手の活躍に期待しています。いま国内では高校野球が始まっています。しかし国民の目はオリンピックに釘付けでしょう。僕など普段、野球に関心はないし野球中継を見ないから、高校野球に違和感を覚えます。どうして中継なのか、スポーツの普及、振興それからNHKの電波しか届かないところってもう日本にはないでしょう。野球をテレビ中継する意義が薄れたといってよい。普及振興すべき種目はほかにあるでしょうって思います。
片桐 : そのとおりや。俺が生まれてからずーっとKHKは春、夏の2回、高校野球を中継しとるで。何でかなと思うな。普及率が高くてポピュラーな競技だからといって放映すべき根拠にはならん。スポーツの底辺を広げて世界に通用する競技種目を一つでも二つでも増やしていく、テレビは効果絶大やからね。野球はもう独り立ちできててる競技やし陸上競技や他の球技などに切り替えてほしいな。野球から卒業していいころや。それからなネットの普及によってテレビももう時代遅れになってきてもた。ネットでなんぼでもスポーツ中継見られるやん。テレビは画面の大きさだけがとりえや。しかし、もうそれもネットに追い越されるやろ。
金森 : 同感。もう野球ばかりの時代じゃないものね。ピックアップして録画放送に切り替えるとか、時代にあった放映のあり方を考えてほしいわね。それに受信料の問題。高すぎるわね。職員給与の見直しや施設整備のあり方など総合的に改革してほしいわ。綱紀の粛正は言わずもがなですよね。ラジオはいい役割を果たしているわね。今夏、息子の運転で郷里まで自動車で移動する途中、NHKの夏休み子供科学電話相談だっけ、聞いたけどよかったわ。あの番組は大人の視聴者も多いそうね。回答者はみんな屈指の文化人でしょう。アナウンサーもよく訓練されていてさすが会話のプロね。いい番組にいい職員がいるのね。テレビもBBCとまでいかなくともやればできると思うの。改革してほしいわ。
三田 : 一言いいですか。
鬼面 : 欠席かと思っていたので失礼しました。どうぞ。

(TPPと農業改革)
三田 : TPP協定の発効がまったく進まないでしょう。僕はねあんな内容だったら発効しない方がいいと思っているんですよ。
鬼面 : 農業分野のこと? アメリカは国内の不満を抑えきれない状況も見え隠れしていますね。特に農業分野ですね。自由貿易のはずが中身のない制限貿易になっちゃった。
白根 : 本当に忌々しいわね。国会質問など聞いていると完全自由化を唱える質問者はいなくてみな農業擁護のシュプレヒコールばかりでしょう。国民の代表があれじゃ消費者でなくとも疑問もつでしょう。何で飛び乗ったのTPPに。既得権益を守るため?

荒戸 : あなたがいくら騒いでも農業交渉はみな昔から同じだで。だからこんな足腰の弱い農業国になっちまっただよ。補助金もらって、戸別補償してもらって、不作なら補償金もくれるこんないい国、世界中にねえよ。大きな家に住んでよ、いい暮らししてるよな。俺たちと似たような土木作業をしていながらどうしてそんなに優遇されるのか不思議だで。
三田 : 先回でしたか鬼面さんが農地の集約と入札による大規模農業を提言されていましたが賛成します。なぜ進まないのか。JAが進める形ではやっぱり自由化に勝てない。企業的経営を徹底的に進める、コメの輸出が可能な生産コストを実現する、私は農業で生き残る日本のかたちができなかったことに苛立ちを感じます。
鬼面 : 三田さん、気持ちは理解できないこともありませんがもう少し平静に、時期を待てばよしい。団塊の世代が20年すれば地権者としても完全にリタイアーします。あなたはその時、まだ50歳代でしょう。生産性の高い農業を追求して、あきらめずにがんばっていただきたい。

片桐 : そんなこと、三田さんに求める方がおかしいわ。すぐに農業を変えんとアカンのやろ。国が農業に税金をつぎ込んでるんやろ。のうのうと終生、農業つづけられたら困る。補助金を返上してやってほしいな。わいらは国から一銭ももろとらん。からだ壊したらやっていけん生活や。同じ肉体労働でなんでこれほど違うの。農民はかわいそうな人やないで。

荒戸 : キミがいくら声を荒げてもどうにもならないよ。国の制度は自治体から国まで議員という岩盤で守られているからよ。議員は農家票がほしいわけだよ。議員は農業の生産性でアメリカの農家に太刀打ちできないこと知ってんだろ、だからよ関税撤廃に反対してTPPでなくなっちゃったんだよ。政治のイロハよ。

鬼面 : 団塊の世代がいずれ世代代わりします。新しい農業の再生に向け、三田さん頑張ってください。
今日はこれまででとします。北近畿で干ばつが続いています。暑い時期、畑作農家の潅水作業は本当に命がけです。お見舞いと豊穣をお祈りします。    了」